カナダ外資系日記

海外就職、海外で働く、株式投資について書きます。

日系の現地社員として働くということ

カルガリーの日系商社での仕事です。ビザなしの私を駐在員待遇として採用してくれただけあって、入って数年は前のめりで仕事をしました。本社の東京も本気でカナダのオイル資産に投資をしようとしてました。私も多数の案件を紹介し、プロジェクトとして採用され、かなり充実した時を過ごしました。それに伴い、私のポジションも、最短でどんどん昇進していきました。何よりも素晴らしかったのは、東京の仲間で、賢く面白く品があり、これらの仲間と過ごした時間は私のキャリアでも最も楽しく充実した時間でした。一方、カナダの現地社員はカナダ人日本人にかかわらず余り面白い人はいませんでした。残念ながらカナダ人のトップクラスは日系企業には入りません。

 

一方、時代は流れます。カナダ側の社長は2年毎に代わり、カルガリーオフィスの店長も代替わりを何回かすると、私の採用の経緯を知らない社長や店長になっていきました。更に、世界中の現地社員の給料を標準化しようという流れの元、私の待遇が問題となってきました。そこで、車の手当てを廃止したい、オフィスの駐車場を廃止したいという具合に、私の入社の条件であったはずのベネフィットが一方的に廃止されていきました。更に、2年毎に昇進しても、私の給料は既に新しいタイトルのレンジをはるかに超えてるとの理由でタイトルだけ上がって給料上がらずという事が毎回起こりました。人事の標準化という流れはわかりますが、自分は時間もお金もかけて自分のキャリアを磨いてきたのに、そこは口では評価すると言いながら給料上がらず。まさに、タイトルインフレ状態です。私は言葉は信じませんしタイトルも信じません。お金自体が欲しいというより、年収額は私への率直な、嘘偽りない評価ですから、年収にはとてもこだわります。

 

カルガリーへの投資熱が冷めて、更に私のタイトルも次はカルガリーのトップしかないという状態になると、東京本社やNew Yorkの地域本社で働かないかという誘いが始まりました。しかし、私はカナダに移住してきた人間なので、日本に帰るとかNYに移るとかは考えられませんでした。また、あのマッチ箱のトラウマに近いものも持っていました。前回の記事で少しだけお見せしましたが、カナダの住宅環境を見ていただければ皆さんも分かっていただけると思います。ここを離れる理由はありません。

 

仲間は素晴らしかったのでとても悩みました。しかし簡単に言えば、会社と私の間で、お互いが求めている者が変化し、マッチしなくなってきたということです。素敵な仲間に囲まれたので、まるでここがゴール地点のように私も勘違いしてしまいましたが、私のゴールはここではなかったはず。ドイツ人のコンサルタントのような生活を送りたい、シアトルでみたマイクロソフト、アマゾンの人たちのようになりたい、これがゴールでした。卒業です。

 

最後に、日系社員の現地社員として働くことについて。私は駐在員待遇という事で入りましたが、結局は現地社員です。そこで色んなことを見ました。ベトナムで研修及び駐在経験があるので会社は変われど想定した通りでした。一言でいえば、ノンキャリです。従って、出世は余りしない、給料は余り増えないけど安定した生活を海外で送りたいという方にはとてもいいと思います。但し、私のように頑張った分だけ認めら上に上がりたいという人にはやはり向きません。また、余り書くべきことではないのですが、将来のある皆様のために本当の事を書きます。駐在員も優秀だから来る人もいれば、本社で居場所が無くて来る人もいます。そのような人たちの下でノンキャリとして働くのにはかなりの割り切りがいります。また、日系企業はカナダにあろうがなかろうが、日本です。職種にもよりますが仕事の9割以上は日本向け。また現地で働くカナダ人は得てして優秀な人はあまりいません。従って、カナダにいるのに小さい日本村に閉じ込められ、家族がどんどんカナダ社会に入っていくのに、お父さんだけ一人日本人という状況が起こります。

 

ノンキャリでいい、多くを望まない、日本村が逆にいいんだという方には向いていると思います。一方、高学歴でリスクも取れる、よりチャレンジングなステージに立ちたいという方には日系企業の現地社員はとても難しい。後者の方には、ビザの為に割切り、短期間でここを卒業し、本当の海外の窓をこじ開ける努力をすべきです。

 

多数の10代の若者がJリーグを飛び出し、もしくはJリーグさえ行かずにヨーロッパの海外リーグに単身向かいます。ビザの問題、言葉の問題、文化の違い、問題はいくらでもありますし、成功する確率は高いとは言えない。でもダメだったらまたJリーグに戻ればいい。10代の若者にできて高学歴の皆さんに出来ないわけがない。日本人の優秀さを海外の人たちに見せつけてやりましょう。