カナダ外資系日記

海外就職、海外で働く、株式投資について書きます。

P.Engの再申請が通りました。良かった

P.Engというエンジニアの資格の再申請をしていたのですが、その承認がおりました。あとは、P.Engとしての倫理の試験に合格すれば晴れてP.Engを名乗れます。

 

このP.Engという資格は結構厄介なのです。私はこのカナダのオイル会社で9年以上働いているのですが、この資格の重要性にはあまり気づいていませんでした。この資格はカナダのエンジニア団体の認めた大学のエンジニアプログラムを卒業し、エンジニア団体の認めた会社でエンジニアとして経験を5年積めば取れる資格なのですが、カナダ以外の大学でエンジニアプログラムを卒業すると条件が跳ね上がります。基本は、エンジニアとしての数日間に亘るテストを受けて合格しなければいけません。大学卒業後あまり時間が経っていなければそれほど難しいテストではないようですが、卒業後10年以上経っているエンジニアには大学4年の勉強を漏れなくやり直さなければならないのでかなりの難関になります。まして、卒業後20年以上経っている人にはほぼ不可能です。従って、海外で有名大学を出て立派なエンジニアの方でもP.Engの資格がなければ、P.Eng保有のカナダ人の下働きになってしまうことも多々あるのです。ただし、カナダのエンジニアプラクティスと認められている会社で10年以上働いてその経験が認められれば、例外的にこのテストを免除されることがあります。私はこの後者の方法で倫理テスト合格を条件としていますがP.Engの承認を本日受けました。

 

このP.Engはカナダでエンジニアとして名乗ったり、エンジニアプロジェクトとしてサインや承認を与えることが出来る資格です。また、オイル会社で言えば、オイル会社は財務諸表とともにオイル及びガスの埋蔵量をTSXトロント証券取引所)に提出しなければいけないのですが、この埋蔵量評価を行うことができる資格です。逆に言えば、P.Engの資格がなければ、どれだけ経験があっても下働きは出来ても、この埋蔵量で間違いありませんという承認を行うことが出来ません。また、社内でもエンジニアとしては正式には認められないので、ポジションや昇進の機会は限られます。オイル会社はこのエンジニアの技術評価への承認の権限のためか、エンジニアの言う事なら信頼できる、エンジニア以外の人の言うことは話半分という雰囲気があります。従って、このP.Engはとても大事な資格なのです。

 

カナダは米国と違い、全てを言語化しない微妙な雰囲気の中で物事が進んでいくところがあるように感じています。このP.Engの重要性に気づくのには時間がかかりました。簡単に言えば、誰もはっきりとは教えてくれなかったのです。今の上司が初めて明確に説明してくれました(これも私が突っ込んで突っ込んでようやく教えてくれました)。

 

カナダのオイル会社で働いている日本人は私1人だけなので、カナダでPetroleum Engineerと呼べる日本人も当然私1人となります。この承認を得るのはかなり大変でした。東京時代に働いていた戦略コンサルの社長さん、商社時代の上司、現在のカナダのオイル会社の上司や同僚の方々6人、お付き合いの会った投資銀行の方、この方達のサポートや推薦無しにはP.Eng取得はありえませんでした。本当にありがとうございました。死んだ親父が博士号を取ったのも私のこの歳の頃です。親父が取らせてくれたのかな、ありがとう。

 

このP.EngとMBA、そしてこの会社で得たM&Aと事業計画策定の経験があれば、今の会社での機会はかなり広がるし、仮に今の会社でレイオフになってもカナダではそこそこ競争力のあるスペックになれたかもしれません。あとは、倫理テスト、がんばります。暫く投資の勉強は辞めにしないと。