カナダ外資系日記

海外就職、海外で働く、株式投資について書きます。

キャリアのご相談

一昨日、isaki1045さんから相談を受けました。同様のお悩みをお持ちの方もいらっしゃると思います。この方から他の方に相談内容と私の回答をここで共有しても良いとの許可を頂いたので、下記共有させてもらいます。但し、プライバシーに関わる事は敢えて割愛させていただきました。

 

ご相談内容は以下です。

Mattさん、いつもブログ拝見し、参考にさせていただいています。
私は30歳男性で、国内上場企業勤務です。
将来的にカナダに移住しようと考えています。移住先はパートナーの友人のいるトロントを第一候補として考えています。私のこれまでの職業履歴は、新卒入社後素材の流通・貿易業務に携わり、その後投資先の素材物流会社の事業管理をしています。
私の学歴は関西の国立大学の文系学部卒です。現地で仕事を見つけ易くする為、トロント大学MBAを取得することを考えています。
そもそもカナダで働くために、トロント大学MBAを取る選択が年齢面・費用対効果面でベストかどうか、MBAを取ったとしてどのような仕事を得ることができるのか悩んでいます。大変お忙しい中とは存じますが、もしアドバイスがありましたらご教示いただけますと大変有難く思います。

 

回答;

海外でキャリア構築のためには、キャリアだけでなくワークビザ及び永住権をどのように得るのかを考えなければなりません。isakiさんの記述を見ると、パートナーの関係でもしかしたら配偶者ビザを取得できる見込みがあるのかもしれません。

 

1.配偶者ビザを取れる場合。この場合はビザの心配をせずに、配偶者ビザを取ってからすぐに仕事探しをできると認識しています。その場合はビザ取得は考慮に入れず、シンプルにキャリア構築だけのためにMBAを考えることができます。

 

日本人である私たちが下手な英語で、カナダ人を押しのけて仕事を得るには何らかの特別なものがなくてはいけません。この意味では資格は目に見える差別化ができます。ただし、MBAは何かの強みがあって初めて活きるもので、それ自体では大きな武器にはなりずらいというのが私の理解です。例えば、カナダでいえば、仕事経験があり且つ、会計士(CPA)、CFA、エンジニア(P.Eng)の資格を持ち、そのうえでMBAを持つとより他人と差別化できます。isakiさんの経歴を見ると、素材関係がご専門のようですのでCPA、CFAなどの資格はあまり関係なさそうですが、素材関係で何か特別の仕事上の知識ノウハウをお持ちであれば、これにMBAを加えればカナダ人との差別化となりえます。もし、仕事上の専門性がないということであれば、ご仕事の関係上CPA、CFA、P.Engとはあまり関係がないと推測しますので、唯一残るMBAくらいは持っていないと逆に仕事探しはきついかなと思います。簡単に言えば、仕事上でカナダ人との特段の差別化は無い、カナダでの職歴は無い、となると、せめてMBAは持っていますという方向性かと思います。

 

2.配偶者ビザを持っていない場合。この場合はキャリア構築と同時にビザ取得のための戦略を考えなければなりません。ビザ無しではカナダで就職活動すること自体不可能です。因みに、カナダ企業がワークビザを出してisakiさんにオファーを出すことはちょっと常識では考えずらい。そうなると、ビザ取得のためには何らかのビザが必要です。一つのオプションは、isakiさんは質問から推察するに商社勤務でしょうか?もしそうでカナダに現地法人があるなら、本社と掛け合いそこの現地社員に変更してもらい、ワークビザを出してもらうように交渉するというやり方があります。他日系企業に現地社員として応募しても、日系企業がビザなしの方を雇うことは今は殆どありません(特別な何かがあれば別ですが)。従って、もしカナダ法人があるのであれば、ここで現地社員に切り替えワークビザを出してもらい、今すぐにでもカナダの永住権取得のプロセスを始めてください。カナダで現地社員として働いている間に、例えばDistance LearningでMBAを取得し、もしくはご専門関連の資格を取得し、永住権取得と同時にカナダ企業への転職というやり方もあります。もしくは、現地社員としてそこで働き続けるというやり方もあります。もし、現地法人がない、現地社員への切り替えが難しいということであれば、答えは比較的シンプルです。トロント大学でフルタイムでMBAを取得したほうが良いと思います。フルタイムの修士号であれば最長3年のビザが付きます(Post Graduate Work Permit. ビザは市況で方針が良く変わるので是非ご確認を)。従って、今からすぐに永住権の申請をはじめ、MBA準備に一年もしくはそれ以上、MBAで二年、そしてビザで三年あれば合計6年になるので、ビザが切れる前に永住権が取れることが期待できます。逆に、CAPやCFAであれば修士号とは関係ないのでビザは取得できないと私は理解しています。逆に言えば、MBAでなくとも、ご専門と関係のある修士号を取れば、ビザの3年が獲得できると思います。いずれにしても、修士号取得がビザ取得のためには必要だと考えます。

 

一般的には、日系企業で働くのはLow Risk Low Return、カナダ企業はHigh Risk High Returnです。どちらが良いかは個人の生き方や指向、そして能力の問題もあるので何とも言えませんが、isakiさんのご経歴から察するにカナダ企業に是非チャレンジしてほしいと私個人は思います。素材関係という分野に私は詳しくありませんが、一般的には日系に比べカナダ企業の給料はかなり高いと思います。

 

因みに私の回答は、カナダに来ても日本時代と同じステイタス、最低でも同様の給料レベルを取得するという前提で答えています。もし日本時代より生活レベルが落ちても良い、社会的な立ち位置が変わっても良いということであれば、ビザだけに集中すればよいと思いますが、きっと日本時代から大きく下がるのは嫌だという考えられていると思うのでそのように回答しています。

 

お役に立てればよいのですが。もし質問に答えていないもしくは、更にご質問あればお知らせください。ほかの方の質問にも時間があれば答えましょう。

 

Matt