カナダ外資系日記

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米国は世界一の産油国

今日は、世界一の産油国、米国について。

 

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この表によると、世界の18%の原油を生産しているのは米国、2位はサウジで12%、3位はロシア、そしてカナダ、中国と続きます。サウジは実はもっと生産余力があるのですが、世界は原油の供給過多ということでOpex及びロシアは減産協定を結んでいます。それにしても米国って世界有数の産油国になれた理由を知ってますか?

 

米国は元々カルフォルニア及びテキサス州、そしてGulf of Mexicoに海上油田を持っています。これらの油田は発見されて開発された当初は原油もじゃぶじゃぶ生産できるのですが、時間が立つとともに生産量は減産していきます。オイルは地下1000mから4000mにあるのですが、地下の圧力は地上の圧力より高いので、その圧力の高低差を利用して、地下に通ったパイプ(Production Tubeと言います)を通して地上に吹き出してきます。しかし、生産期間が長くなるにつれて、地下のオイルが減ってくるので、当然圧力差が減っていき、原油生産が減ってくるわけです。従って、2000年当初までは米国の原油生産も減少の一途を辿っていました。

 

しかし、2000年当初に原油生産技術の革命が米国で起こりました。Resource Rockを爆発物のようなものを使ってかち割ってしまう技術が開発されたのです。これを理解してもらうには、オイルが地下のどこにあるかについて説明しなければなりません。

 

オイルは大昔の大昔、プランクトンなどが死骸となりそれが地面に堆積し、時間とともに地形変化で、どんどん地下に潜っていきます。地下に行けば行くほど圧力も上昇し、その死骸の有機物が圧力でCookされ、オイルやガスに変わります。このオイル・ガスが入っているRockを、Resource Rockと呼びます。オイル・ガスは比重が軽いので、このResource Rockに少しでも隙間があれば、そこから漏れ出し、上へ上へと向かい、あるものは地上に漏れ出し、あるものは密度の硬い岩にぶつかり、その隙間の少ない硬い岩のところで留まります。このオイルが留まったRockをReservoir Rockと呼びます。

 

Geologist (地質の専門家)は当然Resource RockもReservoir Rockも知っていましたし、Resource Rockには大量のHydrocarbonが眠っていることも知っていました。しかし、Resource Rockは余りに硬く、そこから原油を取り出すことはできないので、代わりに地上に近く、比較的Rockに隙間の多いReservoir Rockに井戸を通し、そこからオイルを生産していました。オイルは隙間からしか取り出せないので、Reservoir Rockの中でも特に隙間の多い、通り道の多いRockにターゲットを絞って生産していました。つまり、Resource Rockから滲み出て途中で留まっている隙間の多いReservoir Rockからしか生産できなかったのです。

 

しかし、2000年初頭に技術革命が怒ります。HydroCarbonが大量に眠るResource Rockまで地上から垂直に井戸を通し、その後Resource Rockの中に水平に井戸を突っ込みます。アルファベットのLの字をご想像下さい。そして、水平の井戸に等間隔で沢山の小さな爆弾を送り込み、それを爆発させます。そうすると、爆発によりResource Rockに多数のひび割れ=隙間が生まれ、Resource Rockから直接オイルを取り出すことが出来るようになりました。これまでの、ちびちびと染み出したオイルが留まっているReservoir Rockでなく、その大元のResource Rockから直接生産出来るのです。

 

日本では、Resource Rockには元々ドロが固まったRockが多いのでシェール(泥でできた岩)革命と呼んでるようですが、業界ではResource Playと呼んでいます。

 

この技術革命によりResource Rockから直接オイルを取り出すことが出来るので、米国のオイル生産は急激に伸びてますし、これからも伸び続けます。従って、米国にとっての中近東への政策もこれに伴い変わりましたし、テクノロジーも資源も国内で保有する米国の覇権は更に強まったと言えるかもしれません。