カナダ外資系日記

海外就職、海外で働く、株式投資について書きます。

歴史的オイル暴落でも、何故生産を続けるのか

今日は北米のオイル価格WTIはUS$21/bblを打ちました。この価格ではカナダや米国のオイルは生産すればするほど損をします。従って、私の会社も早急に生産を止めようとしています。でも、生産を止めるのって実はそんなに簡単なことでは無いのです。

 

例えば、カナダで盛んなThermal productionというやり方は、天然ガスで水を沸騰させ蒸気を作ります。そしてその蒸気を地中3000mに突っ込み地中のオイル層を温めます。そうすると、そこで圧力が上昇し且つオイルの流動性が増すのでオイルを地上まで吹き上げることができます。オイル価格が下がったからと言ってこの蒸気を突っ込むことを止め地中を冷やしてしまうと、このオイル層が壊れてしまい、もう生産することが出来ません。また、生産方法によっては生産を停止することは出来ても、オイル価格が仮に上がっても再生産するためのコストが高く、停止することが出来ないこともあります。従って、どの位この低オイル価格が続くのか、それによって、生産を一時的に停止するもしくは生産する井戸を完全に塞いで生産を永久に中止するという判断を行います。もしくは、損をしてでも短期間でオイル価格が戻ると信じ、オイルを生産し続けることもあります。私の会社ではすでに15%の生産を取りやめました。

 

従って、ドリル会社、パイプラインを敷くための鉄を供給している会社などのサービス会社に対しては、ほぼすべての契約を破棄しています。私の空手の先生も、週2日勤務になってしまったそうです。Job Sharingと呼ぶんだそうです。それでも、レイオフでなかっただけ、ラッキーな方かもしれません。ただし、この低オイル価格が続けばかなり厳しい状況になるでしょう。