カナダ外資系日記

海外就職、海外で働く、株式投資について書きます。

オイルとオイル株、相場が読めません。

これですからね、全く。オイル株を損切りした翌日に原油価格が上昇しました。この業界にいることと、相場を読むということは全く別なのかもしれません。

 

私は今お仕事で、様々なオイル価格のシナリオに沿った収益予測と戦略作成でかなり多忙で、恐らくオイル会社に入って恐らく一番忙しい位で、余りアナリストの記事を読み込む時間はありません。ただ、私が損切りした日の朝に読んだ資料では、世界中のRefineryが操業停止もしくは減産している、原油は価格が下がったからと言ってすぐに大幅な減産は難しい、原油在庫が大幅上昇、コロナのレポートがアップデートされるたびにオイル需要は更に落ち込んでいるという理解でした。更に、OPECを負い続けて何十年という人のレポートを読んでも、これは米国タイトオイル潰しが真の目的で、合意するとしても6月頃という内容でした。従って、オイル価格WTIは$20 から更に下落し$10レベルに落ち込むという予想でしたし、とてもロジカルに思いました。

 

そうしたところ、Trumpがいきなりサウジとロシアと話をつけて、恐らく10mm barrels/dayの減産になるだろうとコメント。これって世界供給量の10%です。この一つのコメントによってWTIは$20から$29まで上昇しました。損切りをした翌日なので、ここでTrumpかよとびっくりしました。

 

ただどうなのでしょう、私には理解できません。Russiaだって3月初旬のOPEC+でさらなる減産に合意しなければオイル価格の急落は知っていたはず、それをしって合意しなかったのは米国タイトオイルを潰したいからというのはとても理にかなっていると思います。それであれば、こんなに早く米国と手を打ちますかね。更に、世界最大のオイル産油国は米国です。Trumpによると、米国は減産せず、サウジとロシアだけに減産させて価格を上昇させると。Trumpも出鱈目ではないでしょうが、この情報からだけでは理解できません。カナダのオイル会社の株価を見ると、オイル価格は上昇したのに株価は殆ど変わっていません。

 

この業界で戦略関連の仕事を10年してきても、オイル価格がどうなるかを予測出来ない。特にTrumpなどオイルは戦略コモディティーで政治が絡むと到底わからない。そうなると、相場がどうなるかを自分なりに大局観を持って考えるのはとても大事だとは思うものの、相場を当てることに集中するよりも、自分なりのルールを作って、ここまで下がったら買う、ここまで上がったら売るというように、環境変化に素早く対応することにエネルギーをより使ったほうが良いということを今回学びました。過信は絶対に駄目ですね。謙虚にならないと。

 

因みに、これ昔から不思議なのですが、マスコミの方はシェールオイルと呼びますね。何ででしょうか?シェール層(泥から出来た層)からオイルは生産出来ないんです。この業界の人間はTight Oilと呼びます。主に砂から出来た層が地下圧力でものすごく固くなったところを(Tight)ダイナマイトみないなもので爆発させてオイルの通り道を作ってあげてオイルを取り出すのです。