カナダ外資系日記

海外就職、海外で働く、株式投資について書きます。

著名投資家Ray Dalioの資産ポートフォリオ

最近、日本から取り寄せた、世界のエリート投資家は何を考えているのか、という本を日本語で読んでいます。ここで今世界で最も有名な投資家の一人である、Ray Dalioに著者がインタビューで聞き出した素人投資家にお勧めするポートフォリオについて記述がありましたのでご紹介します。彼の推奨するポートフォリオは、

 

株式30%、中期米国債(7-10年満期)15%、長期米国債(20-25年満期)40%、金、7.5%、商品取引7.5% となっています。株式ではS&P500インデックスなど幅広く投資できるものを推奨しています。米国債が55%とはかなりディフェンシブなポートフォリオという印象です。利回りは低そうですが。

 

それでは、私のお気に入りのBacktest Portfolioというサイトを使って過去の実績を見てみたいと思います。そこで、具体的に下記のポートフォリオを使います。

 

比較のために、Portfolio 1はこのRay Dalio、Portfolio 2はS&P500 60%、中期米国債40%、Portfolio 3はS&P500 100%と比較したいと思います。下のPictureをクリックしてもらえばPictureが大きくなります。

 

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さて、結果は以下。

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CAGRはCompound Annual Growth Rateの略で、成長率ですね。この成長率が一番高いのはS&P500 100%のPortfolio 3の9.15%、Portfolio 1が7.8%。米国債が55%の割にはPortfolio 1の成長率は高いですね。ただし、注目してほしいのがMax Drawdown、この2007年から2020年11月までで一番価値が下がったのが、Portfolio 1ではー12.08%に対し、Portfolio 3ではー50.80%、最悪の年ではWorst YearでPortfolio 1はー2.98%に対し、Portfolio 3はー36.81%です。まあ簡単に言えば、S&P500に全投資をすると、年平均成長率は9.15%と最も高いが、悪い年は4割の価値が下がることもありますというPortfolio 3に対し、成長率は7.86%ですが、悪い年でもー3%下落ですむPortfolio 1 (Ray Dalioお勧め)ですね。

 

端的にこれが図れるのが、Sharpe RaitoのPortfolio 1が0.94に対し、Portfolio 3は0.59と低くなっています。因みに、株式6割債券4割のとてもポピュラーなポートフォリオはこの中間になります。

 

どれを選ぶかは個人のリスク耐性とアグレッシブさによりますが、もしWarren Buffetの投資哲学1、損しない、投資哲学2、投資哲学1を守ること、だとすると、Ray DalioのPortfolio 1は損失額が他Portfolioと比べても圧倒的に低いこと、一方成長率は7.8%とS&P500に100%投資して得られる9.2%と比べてもそれほど悪くない数字と言えますので、損失を抑えてもなかなか高い利回りを得られる素晴らしいPortfolioです。米国債55%という高い比率を持ちながらこの利回りは驚きました。