カナダ外資系日記

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2021年の株価、金、Bond価格への展望

2020年12月18日にQE (Quantitative Easing)推奨派のChris WallerさんがFEDのBoard Memberに正式に選ばれました。彼のメンバーへの推薦のニュースが流れたのが12月3日でした。このニュースをどのように解釈してよいのかを考えると、私はQEというものを余り理解していないことに気付いたので、自分なりに勉強してみました。要点は以下です。

  • QE中央銀行が物価や失業率を改善するための手法の一つ。
  • 金利の調整、Open Market Operationが短期の金利の上げ下げを調整するのに対し、QEはMortgage Back Securities (MBS)や中長期のTreasury Noteを購入し、マーケットにお金を供給する。
  • QEを行う事により短期だけでなく中長期のTreasury BondのYield Rateが下がるので、Bond価格も一時上昇する。更に、お金が大量に市場に供給されるので、よりリスク・リワードの高い株、金銀などの貴金属、コモディティが値を上げると言われている。
  • 但し、QEのネガティブサイドは、貨幣の価値低下及び将来的にインフレを招く恐れが懸念されること。

 

2020年3月23日にFEDによりQEが発表されました。そして、その実際のQEの実行された金額の表が以下です。

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FEDのライトブルーの上記棒グラフを見ると、3-5月までにQEが行われ、6月以降QEは余り行われていないことが分かります。これに対し、株価、金、Yield、Bond価格がどう変わっているのか実際のチャートで見てみます。

 

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上記はSPY(S&P500ETF)の株価推移。QE発表のあった3月23日に底値を付けて株価が上昇しているのが分かります。また、12月3日に発表のあったWallenさんのFED Board Memberの発表にはポジティブに反応していますがそれほど目立った株価上昇は見られません。2月18日の価格(株価クラッシュ前)から12月31日まで結局10.6%上昇しました。

 

それでは、金価格を見てみましょう。

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上記から同期間の2月18日から12月31日まで、18.04%とS&P500を上回る上昇をしています。そして、FEDQE実施と同様に、3月から7月まで急上昇したものの、8月から価格が下がっています。これは、QEの実際の実施実行の発表のタイムラグだと私は理解します。QEが減らされたと気付いた投資家が金の売却に走ったため8月から価格が停滞したのでしょう。ただし、10月3日の価格を見ると、価格が大きく上昇しています。つまり、QE推奨派のWallerさんのニュースによって上がっていると考えます。

 

さて、Yield Rateについてみてみましょう。

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3月23日のQE発表から確かにYieldは下がっていますが、それ以前からYieldが大幅に低下しています。8月までQEの影響かYieldは低下していますがそれ以降上昇に向かっています。これは、QEの実施実行が夏以降減っているのに対しての反応と思います。

 

それでは、US Treasury価格(7-10年満期)のチャートは以下。

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2月28日の株価暴落直前から12月31日まで、価格は2.21%の上昇。3月23日のQE発表から8月までBond価格は上昇していますが、QE実施が減少した夏からは価格が低下しています。

 

結論

  1. QEとは中長期の金利を下げる為に行われる中央銀行の政策の一つで、マーケットにお金を大量供給することで、資産価格である株価、貴金属を押し上げる効果があると言われている。昨年12月にQE推進派のWallerさんがFED Board Memberに選ばれたことから2021年以降もQEの拡大が期待されている。
  2. 実際のチャートで確認すると、2月28日の株価ピークから年末までの価格推移をみると、一番価格を上げたのが金の18%、S&P500は11%、US Treasury Bondは2%となる。つまり、QEにより一番価格を上げるのが金、次が株価、Treasury Bondは2%と微増。
  3. 2021年以降もQEが行われるのであれば、金>S&P500>Treasury Bondと利回りが期待され、これに合わせてポートフォリオを調整するのが良いかもしれない。但し将来のインフレがQEにより起こるとBond価格は短期的には上昇しても最終的には下落することが懸念される。