レイオフに伴うパッケージとは
今日はレイオフに伴うパッケージについて書きたいと思います。ただし、私のパッケージの契約書に守秘義務事項が書いてあるので、あくまで一般的な形で皆様にお伝えします。恐らく日本も近い将来このような形になると思うので、この話をシェアする意義は高いと思っています。再度確認しますが、これはカナダオイル業界の一般論の話です。
さて、我々はパッケージとよんでいますが、正式には、シビアランスパッケージと呼ばれます。これは、レイオフに伴い次の仕事につくまでの生活費という形で会社から出されます。パッケージの金額は、業界により大きく異なります。ここではあくまで私のいたオイル業界について。
カナダのオイル業界、特に上流事業ですね、オイルを見つけ出して開発・生産する業界の常識と言われるパッケージ額は一年一ヶ月と言われています。例えば、10年あるオイル会社で働けば、10ヶ月分の基本給が支払われます。ただし、そうは言っても、これだけレイオフが5年以上続くと、会社の規模によって差が大きく出始めました。例えば昨今の例で言えば、あるV社やN社(小さめの会社)は一年3週間しかでなかったようです。一方、一年一ヶ月にプラスアルファで数ヶ月足すという会社もあります。会社の規模が大きければパッケージも良くなる傾向があるようです。
さて、具体的なイメージを持ってもらうために数字で行きましょう。例えば、あるオイル会社の社員平均給料が仮に$170,000だったとしましょう。ボーナスを差し引いた金額は$144,000としましょうか。そうなると、一ヶ月相当の基本給は$12,000となります。仮にある人がこの会社で10年働いてレイオフされ、一年一ヶ月として計算されたとすると、パッケージは$120,000となります。小さい会社であればこれより安くなるでしょうし、大きい会社であればこれよりも大きくなります。また、先程平均給料$170,000と設定しましたが、これはアシスタント職も含めた平均とすると、アシスタント職はこれよりも低くなるでしょうし、プロフェッショナル職となるとこれより高くなるかもしれません。
更に、この時期のレイオフとなると昨年のボーナスが支給されるのかどうかも大事なポイントです。もしこれにボーナス$30,000程度が付与されるとなると、$150,000に増えます。更にとなりますが、まあこれまで積み上げてきた長期ボーナスなどの一括支払い分が加わると、更にパッケージは上がっていきます。ちなみに、オイル業界ではパフォーマンスに連動する毎年のボーナスは短期ボーナス、そこから更に積み上げられるのが長期ボーナスと二種類のボーナスがあります。再度申し上げますが、これは仮の数字だということご理解ください (笑)。
レイオフ通知を受けたときにはかなり落ち込みましたが、パッケージの通知をメールしたとの人事の言葉を思い出しパソコンでふとそれを開けてみると、顔に笑顔が出て、やっぱりオイルはやめられないなんて、辞めさせられたくせに不思議なことを考え、我ながら面白いことを言うもんだと笑ってしまいました。
ちなみに、私の会社のレイオフの予定は新聞報道で周知の事実だったのですが、SNSを通じて多数のフィナンシャルアドバイザーと呼ばれる人からネットワーキングのリクエストが多数ありました。当時はわからなかったのですが今思えばなるほどです。レイオフされるとそこそこのお金が入るので、ハイエナのようにこれらのアドバイザーが群がってくるのです。何から何まで資本主義です。でも、会社は一時的には費用はかかりますが人員を効率的に整理でき、レイオフされる人たちもある程度、少なくとも金額にはハッピーに会社をさりますから、これを簡単にできる社会は競争力を維持でき、結果的に新たな雇用を生み出し、一時的な痛みは伴うものの長期的には健全な経済を維持できるシステムだと私は見ています。