カナダ外資系日記

海外就職、海外で働く、株式投資について書きます。

日本企業への提案

前回は北米の企業の働き方について書きました。ここで最後に、日本企業への提案をします。まずは、提案を書く前に、基本的な考え方を纏め、そこから具体案を提案します。

 

基本的な考え方

  • 競争においてアジアも北米も欧州もアフリカもありません。ビジネスに国境は殆ど無く、ファイナンシャルマーケットも完全にリンクしています。株価と同じでビジネスは基本はゼロサムゲームです。誰かが儲かれば誰かが損する、誰かがマーケットに侵入すれば誰かがマーケットから退出を迫られる。いい加減に日本人らしく、日本人にあったというような、マスターベーションを終わりにしましょう。グローバル市場で日本らしさ、Who cares?です。
  • 北米の会社は株主至上主義です。それ以外のステイクホルダーはこのための手段でしかありません。株価が上げれば借り入れも増やせる、より投資家が殺到して会社はより大きな資金を手にして成長を加速させられる。北米の会社がこれに徹している以上、従業員を守るとか、その家族を守るとか、やたらと多いステークホルダーとのバランスを取るとか、そんな出来もしない理想を掲げていては競争できません。より多くの資本を、より優秀な人材を、その他の経営資源を獲得するには株主至上主義以外に方法なんてありません。

この基本的な考え方を踏まえた上で、私の思う日本企業への提案

  • まずはとっても簡単なことから。終身雇用の廃止。個人の成長のためにも会社の成長のためにもこれほど意味のないものはありません。ここにあるのは社員の将来のキャッシュフローギャランティーするものであり、株主の利益を犠牲にするものです。社員は貴族でも何でもありません。こんなか株主軽視の会社にあなたなら投資しますか?株価が上がらなければお金が集まらない、優秀な社員も寄り付かない、何も出来ません。
  • 業績が悪くても良くても、定期的な解雇を行う。例えば、毎年評価が下位10%は自動解雇とする。因みに、これはレイオフではありません。レイオフとは会社都合で行い、Severance Packageを渡すものです。これは社員のパフォーマンス不足による解雇なので、Severanceは付きません。
  • 定期的に、そして周りの環境変化に合わせて積極的な組織変更を行いそれに伴いレイオフを行う。この場合は会社都合で社員を辞めさせるのでこれにはSeverance Packageをつける。ここの事例で行けば、一年働いた社員には一ヶ月分の給料、10年であれば少し載せて一年分の年収を渡します。その間に社員は次の仕事を見つけます。優秀だけど会社を去ってもらうには、結局の所お金しか無いのです。逆にお金を沢山上げれば、それなりに満足の行くものです。因みに、日本社会もレイオフが一般的になれば逆に経済が好転すると人を会社に余剰人員はいないので逆に人を雇う必要が出てきます。従って、レイオフされても優秀な人材は景気の良い業界に流れるので、人材の流動性が好転します。
  • 社員の年齢に関わる年齢給は廃止。給料は職種の仕事の難易度と個人のパフォーマンス、そして会社のパフォーマンス(業績)のみで決まります。
  • 新卒一括採用の廃止。この制度に、社畜を作り出す以外に何の経営合理性を見出せません。
  • 仕事は職種と職位で募集。例えば、プロダクトマネージャー、マーケティングアナリスト、会計士、などなど。会社の給料水準を参考にするものの、給料、休暇などのベネフィットを決めるのは採用をする上司が最終決定する。人事はあくまでインタビューのアレンジなどのアドミニのみで、決定には関わらない。だって、人事はそれぞれの職種について知らないじゃないですか。知らない人がディシジョンに加わる必要は無い。とてもシンプルな理由です。
  • 仕事を内部のイントラネットもしくは外部にも広く募集し、ベストの人材を常に採用する。早く出世したければ空いている仕事に応募し、そこで勝ち残れば良いとてもわかり易くシンプルな制度です。因みに、外部に行くのと内部での仕事探しにはそれほど違いはありません。また、自分のキャリア、働きたい部署、働きたい場所は個人が決める。会社が個人にどうこう命令するのではなく、やりたい仕事は自分で取りに行く。まあ、当たり前ですよね。
  • 人事はアドミニ業務に徹し、法務部は素人を全て解雇し、弁護士を少数雇う。法務部ってありますが、弁護士じゃないんですよね。何の意味があるのでしょうか。人事にしても法務部にしても、日本の会社って素人集団がなぜか権力を握っている不思議な組織になってませんか?
  • 因みに、人事制度、給料制度は外部の人事コンサルタント、社内のマネージャーレベルを集めたチームを作り、そのチームで作成及びUpdateを行う。
  • 海外に関わる仕事は勿論英語力は必要なスペックの一つになります。帰国子女で英語ができるもよし、自分で英語を勉強してできるようになるもよし。逆に、英語もろくに出来ないのに駐在に出して海外で笑いものになるようなことは論外です。
  • 残業代の廃止。仕事を時間内にこなせないのが続くのであれば、その仕事をこなせる能力が無いということ。一時的な残業は別ですが、恒常的な残業は解雇の対象となりえます。早く帰って大学で修士号を取るもよし、MBAを取るもよし、研究論文を書くもよし、自己鍛錬は自己責任で行います。残業はパフォーマンスの低い証拠という認識を会社で、業界で、日本全体で共有しましょう。
  • 英語、これは私は会社だけでは代えられないのでSolutionを持っていません。英語ができなければ世界中から優秀な人材を集めることはできません。日本人だけという多様性に欠けた集団ではポテンシャルは限られます。世界中から優秀な人材を集めるには英語で仕事を進めることは当たり前ですが、楽天のように社内は英語というのは苦肉の策でしかありません。日本の社会全体で共用言語を英語に変えるとか、より大きなところで買えないと、こればかりは一つの会社ではどうしようもありません。まあ究極の形は会社が本社を日本からシンガポールなど英語環境に移すのが良いのでしょう。いい加減に日本語しかしゃべれない人材の集まりではポテンシャルは限られます。
  • 最後にこれはとても重要です。自分の年金資金は自分で運用する。当たり前ですよね。何故自分の年金を自分が知らない人が勝手に運用するんですか?この超当たり前のことに気づいてください。自分が株を買えばわかります、株価が伸びない会社にあなたは自分の年金資金を投資しますか?株価が殆ど変わっていないトヨタに投資しますか?間違いなくテスラの株を買うでしょう。だからトヨタが一流企業なんて寝ぼけたことを言ってしまう(因みに私はトヨタに恨みはないですよ。株主の観点から事実を言っているだけです)。自分が社員であると同時に、いろいろな会社の株主となることで、この資本主義の中での上記の提案にある正しい企業行動が理解できるようになるはずです。あなたは終身雇用の停滞した社員が沢山いる停滞した株式を買いたいですか?それとも優秀な人材を常に採用し、逆に出来ない社員は解雇を行い、株主の利益を常に考える会社に投資しますか?日本のサラリーマンは自分の年金さえ他人任せ。だから本当の意味で株主になったことがないからどうすれば会社が成長して株価を上げるかを身を持って体験していない。

上記のようにすることにより、会社は常に優秀な人材を適材適所で雇うことが出来、社員は常に競争を続け自己鍛錬を続けるでしょう。勿論、競争についていけない人は、自分が戦える場所を探すのです。無駄な人材を抱える必要もなく、優秀な社員にはより高い給料を払うことが出来、利益を出せる会社は業界を超えてより優秀な人材を集められます。勿論業績を出せない会社は優秀な社員が逃げていき、市場から退出することになるでしょう。また、社員は職種採用なので、自分の専門分野を自分で決めてその道を深めることができるため、他社への転職もその専門分野を生かしてよりスムーズになります。現在の日本企業では総合職という何でもできそうで何も出来ない人材が多く、これでは転職も出来ません。また、終身雇用でない、レイオフを頻繁に行うということは、経済が好転すれば人を募集するということです。従って、業界全体、しいては日本全体で人材の流動性が上がるでしょう。また、日本の会社が株主重視で上記の正しい行動をすれば必ず株価は上がります。そうすればある程度の年齢になれば自分の年金資金は大幅に増えています。それこそEarly Retirementは夢ではありません。米国の株価は過去平均7%の利回りです。これが自分の老後をどれだけ豊かにするかわかりますよね。また、再度繰り返しになりますが、日本モデル、日本人らしさ、日本の文化とか、鎖国するのであれば話は別ですが、この資本主義で世界で勝負するにはこんなことは議論の対象にはなりません。因みに、私は北米の会社で、アメリカらしさ、カナダらしさなんて言葉は聞いたことはありません。この資本主義の市場でその原理に基づき行動しているだけです。そこに、カナダらしさなんて悠長で呑気なことは誰も考えません。最後に、上記の改革は厚生労働省がするものではありません。だって彼らは公務員なんですから、安定が欲しくなたった人たちにこんな改革できるわけがない。自分の会社から変わればいいんです、誰の助けもいらない。日本のようなぬるい競争しかしていないわけですから、自分の会社だけが上記の市場原理に基づいた当たり前のことをすれば批判は浴びるでしょうが一気に日本では超優良企業になれるでしょう。他人任せではなく自分で変わるんです。私は自分の会社を変えようとしたのではなく、手っ取り早くカナダに来て自分を北米仕様に変えてしまったのですが(笑)。

 

上記は思いつくままに書きました。間違いなく漏れもあるでしょうが、大まかなことは書いたつもりです。日本での働き方が変わり、活気が生まれ、株価が上がり、皆さんの給料や老後資金が大きく伸びることを期待しています。