カナダ外資系日記

海外就職、海外で働く、株式投資について書きます。

オイル業界はかなりやばい

今日の午前中Team Buidlingの一貫で、お昼を持ってこれないカルガリーの子供達にランチを無料で提供するボランティアに行ってきたのですが、それを書くどころではない緊急事態発生です。

 

オイル北米指標であるWTIがUS$31を打ちました。サウジとロシアが合意できなかったので価格は急落です。同じオイルでも精製を営む下流ビジネス(日本で言うと出光さんなど)はそれほど影響を受けませんが、カナダにあるオイル上流会社、つまりオイルを探し出して掘り出して生産するような会社は大打撃を受けます。実際に、どのオイル会社も最低20%、ひどいところは40%の株価が今日一日で下落しています。

 

株価が下落するということは、時価総額が当然下がります、つまり、Debt:Equity Ratioが上昇し債務超過となります。私は今現在オイル会社で働いているので余り個別の事例を述べることは出来ませんが、今日はどこの会社もUS$30ならどのくらいの損失が出るかの収益予測、そして今後のオイル価格上昇が見えない中、2020年残りの開発費用は限りなくゼロにするよう動いているはずです。つまり、今生産しているWellからはできるだけお金をかけずに生産を続けますが、新規開発の為のキャピタルはほぼ凍結になるはずです。それが長期的にどうかを議論する贅沢を言っているときではなく、正にサバイバルゲームです。こういう時こそ日本の会社には買収のチャンスなのですが、難しいかも知れません。

 

開発資金がゼロに近くなるということは、少なくとも今後一年は人もいらなくなるということですから、大規模なレイオフカルガリー中で起こることになると思いますし、そのシミュレーションを既に今日から始めているはずです。

 

やばいのはオイル会社だけではありません。アルバータ州全体もかなりの大ピンチです。オイル会社は一般的に法人税と呼ばれる利益に対する税金に加え、Royaltyというオイル生産自体に対する税金を払っています。我々の例で言えば、法人税は利益の約3割弱、Royaltyは売上の2割、利益換算では約4割から5割くらいでしょうか、つまり、利益の7割以上は税金という形で政府に払い、そこからアルバータ週の学校や医療、その他のパブリックサービス、そこに勤める学校の先生やお医者さん、ナースなどにお金が行き渡ります。しかし、US$30ではオイル会社から利益は絶対に出ませんし、Royaltyもゼロになります。アルバータ州のRoyaltyは価格リンクなので、この価格ではRoyaltyRateはゼロだからです。つまり、アルバータ州はオイル会社からの税金やRoyaltyは今年は全く期待できません。略ゼロと言っていいでしょう。従って、これらのPublic Serviceの方々もレイオフされるか、大増税をするか、借金をして子供世代にそのつけを残すか、実際にはこれらのコンビネーションでしょう。パブリックサービスの方々、アルバータ州レジストリー前でデモなんて呑気なことやってる場合じゃないですよ、Budget Cut、今のレベルどころではありません。

 

凄いことになってしまいました。