カナダ外資系日記

海外就職、海外で働く、株式投資について書きます。

私の今のお仕事

私の今の仕事は日本の会社だと経営企画の仕事です。簡単に言えば、会社の今後10年の計画を作る仕事です。

 

私の会社はカナダの大手オイル会社の一つで、オイルもしくはガスを生産し(上流事業と呼びます)、Refineryで原油を精製してガソリンなどを作り(下流事業)、上流から下流まで一貫したビジネスモデルを持つオイル会社です。カナダの大手といっても、Exxon MobilやShellなどと比べると10分の1程度の規模です。Super Majorって凄いです。生産量も開発資金も桁が一つ違います。そして私は西カナダの上流資産を担当しています。

 

具体的には、各ビジネスユニット、シェールガス、オイルサンド、ヘビーオイル開発チームなどから開発計画を提出してもらい、生産予測、開発予算、埋蔵量、経済性をそれぞれ精査し、その優先順位付をします。そして、外部や内部の環境を見ながら予算枠の中でベストと思われる開発プロジェクトを選んで、それを予算に組み込みます。また、プロダクションチームと生産予測とコストを算出し、それらを予算に組み込みます。また、ファイナンスチームから、政府へのロイアルティー支払い予測、減価償却費などを入手し、これまた予算に組み込みます。このように色んなチームからデータをもらい、それを精査し、マネジメントの意向を汲み取りながら今後10年のキャッシュフロー、財務予測を行います。

 

まあ、これらをまとめ上げるだけでも大変ですが、四半期毎に埋蔵量予測、生産予測、収益予測など色んな予測がアップデートされるので、これに合わせて長期計画も調整します。また、経営トップから要望が有ると、その特別プロジェクトを担当します。最近のようなオイル価格の急落があると、経営トップだけでなく取締役会からも色んな要請がきます。もしオイル価格がXXだったらどんな数字になるのか、もし、開発計画を変更したらどうなるのか、などなど、色んなシミュレーションを聞かれるので、そんな数字のゲームみたいなものをしています。まあ、本社の中枢の仕事というのは日本の会社でもカナダでもアメリカでも、程度の差こそあれシミュレーションゲームみたいなものでしょう。因みに、プランナーに求められるスペックは、エンジニア&MBAというのが理想的と言われています。エンジニアやジオロジストから上がってくる資料を精査したり彼らの言葉な十分に理解出来、開発計画を変更してもらい、且つファイナンスの知識も当然必要だからです。ただ私の同僚の一人はこのどちらでもないのですが、ITに強く重宝されてます。長期計画を作ったりポートフォリオ分析をするソフトは北米には多数あるので、これらを深いレベルで使いこなし、更には他のプランナーをこれらの面でサポートしてくれかなり重宝されています。まあ、バリューの出し方は人それぞれですね。

 

この仕事の難しいところは守秘義務です。特に今のようなオイル急落の環境では上から色んな指示が来ます。それは本社の中でも基本は私のチーム以外は誰にも内容は話せません。基本は自分たちで色んな仮説を作りながら数字を作り上げるのですが、私達が血相変えてバタバタしているのを見ると、社内の人も何かが起こっていることを察してしまうので、私達プランナーが話す言葉というのはとても気をつけないといけません。特に北米では予算が減る=人が減るということですから、知ってることをさも何も知らないかのように会話をしなければいけません。このチームに入って学んだことの一つは、人は知っているのに話せないと言われると、その理由は理解できても大変怒ります。特にマネージャーレベルにこれが多く私も嫌な思いをしました。しかし、何も知らなければ言わなくても何も問題ありません。従って、私達はあくまで何も知らないを通すのでう。まあこんなお仕事なので、チームのストレスレベルかこういう非常時は極大化していまいます。

 

まあそう言っても、オイルビジネスならではの巨大なお金と激しすぎる環境変化で仕事をするのは、こういう本社系の仕事(バーチャルな仕事ですね)が好きな人には面白い仕事かもしれません。勿論来週レイオフになってもおかしくもないというドキドキ感も含まれています(笑)。