カナダ外資系日記

海外就職、海外で働く、株式投資について書きます。

米国オイル会社は減産しない方が良い

ロシアとサウジが減産合意の為の交渉中で、米国も減産に同意させようとしていると報道されています。米国がどの位本気なのかわかりませんが、そんなことはしない方が良いと思います。

 

まずはオイル生産量国別ランキングは以下。

1. US 15 mmbbl/d, 2. Saudi 12 mmbbl/d, 3. Russia: 11 mmbbl/d

 

従って、サウジとロシアが減産合意すると、油価が上がって減産しない米国が丸儲けとなります。従って、サウジもロシアも米国を参加させたいのは当然です。

 

米国のオイル会社と言っても立場は様々と想像します。中小のオイル会社は一時的にも価格を上昇させたいので減産したいでしょう、しかし、大手は反対するはず。カナダのオイル会社もアルバータ政府主導で減産を未だにしています。これは、OPEC+とは関係なく、北米大陸で米国でのオイル価格WTIに対し、カナダ原油が大幅にディスカウントされていたため、政府主導で各オイル会社に減産させています。実際には、中小のオイル会社は体力が無いので、カナダ300のオイル会社のうち、実際に減産しなければならないのは13社のみ、残りは例外として減産しません。

 

確かに減産すると、一時的に価格は上がります。しかし、カナダ全体の減産指示が大手にのみのしかかり、大手は開発プロジェクトをすすめることが出来ません。一方、中小のオイル会社は本来マーケットが決めるべき価格ではない、供給側の論理で恣意的に上昇した価格で生産を続けるので、非効率な会社でさえダラダラと経営を続けられます。本来であれば、オイル価格下落の局面は非効率的な経営をする中小のオイル会社は大手に買われることで規模の経済が働き且つ大手の効率的な組織に組み入れられることで業界全体として効率性が上がります。これはとても健全な業界のプロセスです。誤解なきよう明確にしますが、中小全てが非効率と言っているのではありません、中小の中で非効率的な会社が買収されることが健全なプロセスと言っています。そもそも、政府の意思でマーケットが歪められれば投資家はそのような市場にお金を出すことは躊躇してしまいます。また、政府に働かれる方というのはマーケットを見てここは減産、ここは減産取りやめなどという判断をすることが一番苦手な方たちが集まっている。そのような判断ができる人ならそもそも公務員としては働かないでしょう。実際にカナダの大手オイル会社は伸び悩み、非効率的な経営を続ける中小の会社はダラダラと経営を続け、カナダのオイル業界から投資資金が急速に逃げていきました。減産なんて禁じ手です。

 

さあ、米国は減産に参加するなんてことが出来るのか。米国の減産なしにロシアはOPEC+と減産に合意するのか。するとしても、米国オイルが採算ラインに届かないUS$40位まで上げて、それ以上は望まないというのがロシアの本音でしょう。Let's seeですね。

 

一方、報道を見ると、ロシアもサウジもオイル価格を下げて米国のオイル会社を潰したいと言っていますが、確かに低油価が続けばいくつかのオイル会社は潰れるでしょう。でも、会社は潰れてもオイル資産、地下に眠るオイルは無くなりません。潰れそうになればChpter11で債務整理をして復活するか、良い資産であれば別のオイル会社がその資産もしくは潰れる会社ごと買い取ります。資本主義をなめてはいけません。価格が下がれば苦しみます、でも価格が上がれば必ず這い上がってきます。だから、ロシアとサウジがどんなに頑張っても米国のオイル業界を潰すことなんて出来ないのです。

 

私はもうOPEC+が合意するかどうかなんて予想出来ないことがわかりました。もし合意してオイル価格が上がれば私の仕事は安定を少し取り戻すでしょうし、合意しなくて油価が下がればオイル関連株を買います。