カナダ外資系日記

海外就職、海外で働く、株式投資について書きます。

北米原油価格は、マイナスUS$36.76/bbl。歴史上初です。

北米の原油価格の指標であるWTIが本日午後 -US$36.76/bblを記録しました。歴史上初のマイナス価格です。思わず写真取りました。

 

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下記はWTI価格の2000年以来の価格推移。下に突き抜けてます。

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いやー、凄いことになりましたね。私の場合、他人事では全くないのですが。マイナス価格とは、オイル会社が原油を引き取って貰って、更にお金を払うということになります。実際には、生産されたオイルをパイプラインのマーケットのハブまでパイプライン輸送費を払い、そこからWTIから更にディスカウントされた価格で販売します。今回の場合、輸送費+ディスカウント+マイナスWTI価格更にカナダドルへの換算で、カナダドルベースではバーレル当たりC$50以上支払うことになります。このままだと、ガソリン買ったらお金もらえるんじゃないですかね(笑)。

 

今回マイナス価格となった原因は、原油を入れる貯蔵タンクがキャパシティ一杯になる恐れがあり、行き場を失った原油は輸送タンカーに入れて海上を漂わせておくのですが、それまで一杯になる恐れが見えてきたため、このようなマイナス価格という事態に陥りました。現在在庫がものすごい勢いで増えているので、6月頃には北米の原油が貯蔵キャパシティ一杯になるという予測です。したがって、このマイナス価格が正しい価格かはわかりませんが、すぐにオイル価格が安定するとは考えづらい。

 

さて今後の展開ですが、オイル会社はCovid19に伴うオイル価格下落に伴い投資を大幅に削減しましたが、Covid19が解決すれば年末もしくは来年年初にはオイル価格は回復するという読みが一般的でした。したがって、多少赤字でも生産を続けるほうが、一旦生産を止めてReservoir (オイルが入っている地層)を傷つけ元通りに生産できなくなるリスクまたは生産を停止そして再開するコストよりも赤字幅が小さいという読みでした。しかし、お金を払うとなるとこれはまた別次元の話になります。北米の会社は大幅に生産を削減するでしょう、勿論売上がゼロもしくはマイナスになるわけですからこれに耐えれないオイル会社は倒産、勿論下請けとなる多数のサービス会社も倒産となるでしょう。しかし、このサイクルの生き残りに成功した会社は当然競合他社の数が減るのでより力強くなって覇権を握るということになるでしょう。政府の手助けなどは不要です、オイル業界は昔からカルチャーとしてもこういう業界ですし、このサイクルで業界は更に強くなりますから。ただし、問題は私自身ですね、これまで多数のレイオフをかいくぐってきましたが、今回のは規模が相当大きいと思います。まさに、歴史的な惨状が待ち受けているのは間違いありません。

 

今回は特別ですが、昔からそしてこれからもこういう業界です。