カナダ外資系日記

海外就職、海外で働く、株式投資について書きます。

45歳定年議論

サントリーの上の方が言った45歳定年議論、お怒りの方多いですね。面白いです。そしてとても日本らしいですね。だから日本は成長出来ない。

 

この議論を聞いていると、社会を知らない臆病で幼稚な子供レベルです。資本主義でもないし社会主義でもないどっちつかずだし、個人の自立が出来ていない子供レベルの議論になっていますね。日本人は柵に入れられた羊と形容されるけど、的を得ている表現です。

 

確かに45歳定年という言葉はおかしい。定年するかどうかはパフォーマンス次第、マーケット次第、そして個人の選択の自由のはずです。それを45歳という年齢で一律で区切るのは年齢差別ですし、合理的ではありません。ビジネスは合理性の追求ですから、おかしな話です。でも、このサントリーの方が言いたかった本質は45歳定年ではなく、雇用の流動性のはず。日本は流動性がとても低い。これが問題なんです。

 

私もこちらの家の写真を見せたり、外資で働くことのメリットも書いていますが、外資で働くというのは大変なことも多数あります。カナダのオイル会社で10年、今のマイニング会社で働いて約半年ですが、自分がいつ解雇されるのか、レイオフされるのか、自分の属している会社自体、ビジネスユニット自体がいつ売却されるのか、逆に買収することにより自分のポジションが無くなる恐怖を持たない日はありません。出社したら、今ならパソコンを開けたら会社のイントラネットに繋がらなく可能性は常に頭にありながら生活しています。10年後どころか、明日月曜日に自分のポジションがどうなっているかなんてわかりませんし、それに伴う不安は当然あります。頑張って仕事をしていたって、高いパフォーマンスを出したって、ポジション自体が無くなるときには無くなります。だから、日本の会社の人は自分たちは労働時間が長くて大変なんて思ってるかもしれませんが、労働時間が長いのは単に生産性が低いから、別議論であり、私から見たら気楽なサラリーマンにしか見えません。だから、日本の会社は、そして日本のサラリーマンはいつまでたっても生産性が低く三流なんです。

 

私にも高校生と中学生の娘が二人います。これからお金がかかります。雇用の保証をしてくれればそれは有難い。でも、雇用の保証なんて日本の会社のようにしてしまったら個人的な安心はしますが、同時に会社は競争力を失います。それぞれの会社が競争力を失えば業界全体、社会全体が競争力を失います。これは日本の過去30年の長期の低迷社会をみれば明らかです。一方で、今いる会社を首になったりレイオフになっても、個人のパフォーマンスが高ければ流動性の高い社会であれば別の会社からオファーがもらえます。まあ、実際はそう簡単ではありませんが、少なくとも理論的には、社会全体とみれば大きくそうなります。

 

45歳という年齢は子供にお金がかかるとか、そういう個人の都合をグローバルマーケットでの競争に晒されている会社に押し付けていたら会社は勝てません。日本以外のほとんどの国の会社は雇用の流動性を確保しながら戦っているわけですから、日本の会社は大きな重しをつけながらの戦いになってしまい、会社も社員も三流化してして社会全体の競争力を失います。今の日本に世界で一流と言われえる会社なんてありますか?規模の大きい会社はりますが、成長性が低く全て衰退会社ばかりです。

 

競争のない組織、競争のない社会が成長することはありません。雇用の流動性、これは個人にとっては本当に大変です。私も心が休まる日なんて外資で働く以上ありません。でも、結果的にこれにより企業は成長するし、当然私へのオファーも高くなるし、個人もスキルを上げようと努力をするし、結局これしかないんです。社会保障、どうでしょう、カナダにもあるのはあるでしょうが額なんて知れてます。保証はこれまで貰ったお金を貯金なり投資するなりして自分で確保するしかないんです。だから、これまで大学出たり、大学院に行ったり、様々な資格を取って自分に武器を付けてきたわけですから。

 

いい加減、こんな当然のことに気付いてほしいですけど、まあ羊のように臆病な日本人にはわからないんだろうな。とても残念です。日本に生まれ育ち、日本の大学、日本の会社、たまに海外駐在という名の海外の日本村生活、これでは日本以外の社会の仕組みなんてわからないよね。残念です。